外国企業の基本法人税率は35%(課徴金と目的税を含む。最大38.22%。)ですが、日本企業については、日印租税条約(DTAA)を活用することで税率を下げることができます。日本企業は、新しい税制下では22%(課徴金と目的税を含む。)の軽減税率を選択でき、2024年3月31日までに生産を開始した新設製造会社は15%の優遇税率を受けることができます。
インド政府が設定した特別経済区(SEZ)に設立された製品の製造や加工を行う企業は、操業開始から5年間は完全な免税を受け、その後の5年間は50%の免税を受けることができます。また、生産連動型奨励策(PLI)では、特定の製造分野(自動車、自動車部品、電子機器、医薬品、医療機器、半導体、冷凍食品、玩具等)向けにさらなる税制上の優遇措置を提供しており、特に製造メーカーがインドに製造拠点を設立する場合に適用されます。
もう一つ重要な税金として、物品サービス税(GST)があります。物品サービス税(GST)は間接税で、商品やサービスの販売、提供又は消費に対して課される税金です。売上高が一定額を超える場合、企業は事業を行う州ごとにGSTシステムに登録をする必要があります(現在、サービスでは200万インドルピー(約354万円)、商品の販売では400万インドルピー(約708万円))。企業は売上高に応じて、月次または四半期ごとにGST申告を行う必要があります。さらに、売上高が5000万インドルピー(約8,850万円)を超える企業には、電子請求書の導入が義務付けられています。税務申告と税額の確定は完全にデジタル化されており、透明性、迅速性、効率性が向上しています。
日本企業は、インド法およびDTAAの両方の恩恵を最大限に活用することで、節税効率を最適化することができます。そのためにはサービス料・ロイヤルティ等の設定や取引スキームを慎重に設計する必要があります。
なお、年間推定税負担額が1万インドルピー(約17,700円)を超える場合、四半期ごとの予定納税が義務付けられています。
所得税局の公式ポータルサイト(https://incometaxindia.gov.in)では、税務計画とコンプライアンスのために、税率、申請書式、コンプライアンス要件に関する最新情報が提供されています。
執筆者:インド法弁護士 シュレヤ