インドにおける食品輸入規制の最新動向と実務対応③

表示・包装・コンプライアンス戦略

1 食品表示の要件について

 インドにおける輸入食品の表示規制は、世界的に見ても非常に厳しく、近年さらに強化される傾向にあります。2025年現在、明確かつ正確な表示が求められており、英語またはヒンディー語(デーヴァナーガリー文字)で表記される必要があります。

 日本語を併記することもできますが、その場合は翻訳の正確性が厳格に求められます。不適切な翻訳は、ブランドの信頼性を損なうだけでなく、規制当局からの確認や指摘を受ける可能性があります。

 

2 2025年の重要な改正

⑴ パッケージ前面への栄養成分表示

 インドでは、脂肪、糖分又は塩分の含有量が高い製品について、パッケージ前面に警告表示を義務付ける新制度の導入が検討されています。

 本制度は現時点では未施行ですが、2025年4月9日の最高裁判所判決を受け、近い将来に導入される見込みです。

 日本企業にとっては、他国市場向けに設計された既存のパッケージを、そのままインド市場で使用できなくなる可能性があり、インド市場向けに新たなパッケージを準備する必要が生じるおそれがあります。このため、追加的なコストや実務負担を見据え、早期から対応を検討することが重要となります。

 

⑵ 再生PET包装材の使用(2025年3月28日施行)

 新たなガイドラインの制定により、一定の安全基準を満たす場合には、再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)素材をパッケージ材料に使用することが認められました。

 また、2025年5月には、詳細な実施ガイドラインが公表され、承認された4種類のリサイクル工程(スーパークリーン法、Melt-in法、Paste-in法、化学リサイクル法)、必要な試験要件および再生材使用を示す専用ロゴの表示義務などが定められています。

 

⑶ ベジタリアン表示義務

 ベジタリアン表示は、緑茶など明らかに植物由来の商品であっても、必ず表示することが求められます。

 この要件自体は新しいものではありませんが、近年は運用が一層厳格化されており、インド規制に不慣れな海外の輸出業者にとっては見落とされがちな点となっています。

 

3 食品表示における表示義務事項

 食品表示に関し、法律上必ず表示しなければならない事項は次の通りです。

 

⑴ 製造者・輸入者情報

  • 日本側製造施設の正式名称および住所

  • インド側輸入者の情報(FSSAIライセンス番号を含む)

⑵ 食品の規格・名称および内容量等

  • FSSAI承認済みの商品名(製品の一般的な名称(慣用名)または規格上の製品名)

  • メートル法による正味重量(フォントサイズ要件あり)

  • 製造日および賞味期限/消費期限の明確な表示

⑶ 原材料・安全情報

  • 重量順に記載した全ての原材料の一覧

  • アレルゲンの明示

  • 原産国表示(「Product of Japan」)

  • トレーサビリティ確保のためのロット/バッチ番号

  • FSSAIロゴの適切な表示位置

⑷ 消費者保護要素

  • ベジ/ノンベジ表示
  • アレルゲン情報の強調表示

 

執筆者:インド法弁護士 シュレヤ(翻訳 弁護士 辻陽加里)