インドにおける食品輸入規制の最新動向と実務対応⑤

1 製品試験・コンプライアンス

 FSSAIは、輸入食品に対する監視体制を大幅に強化しており、抜き取り検査の実施頻度や検査項目が増加しています。

 日本製品は一般的にインドの基準を上回る品質を有していますが、日本とインドでは検査の着眼点が異なるため、その違いを十分に理解していない場合、通関手続きで問題が生じるおそれがあります。

 

⑴ 主な検査項目

  • 微生物・病原菌検査
  • 農薬残留(特に茶製品では日印基準の差異に注意が必要です。)
  • 重金属・汚染物質
  • 表示内容と整合する栄養成分分析

⑵ 輸出前検査戦略

 FSSAIの認定を受けた日本国内の検査機関で事前に検査を行うことで、輸出前の段階でインドの規制への適合性を確認することができます。

 これにより、輸入時に却下されるリスクを抑えられるほか、インド側での申請や審査の際に補足資料として活用することも可能です。

 

⑶ 検査スケジュール管理

 2025年改正の輸入規制は、検査を行う試験所に対し、5日以内に検査報告書を提出することを義務付けています。但し、検査項目によっては1~2週間を要します。登録済みの施設や、すでに承認を受けている製品を有する企業の場合には、検査や手続きが迅速に進むことがあります。

 検査スケジュールを考慮した出荷計画を立てることが重要になります。

 

2 EC・現代型小売チャネル

 インドの小売市場は急速に発展しており、ECプラットフォームや近代的小売チャネルを通じて、日本食品を展開する機会が広がっています。

 

 ⑴ ECプラットフォームの活用

 Amazon India、Flipkart、BigBasket などの主要なECプラットフォームでは、輸入食品を販売するためのインフラが整備されています。

 一方で、近年の FSSAI による指示により、商品配送時点で少なくとも45日以上または全体の30%以上のうち長期の賞味期限が残っていることが求められており、在庫管理や物流計画に影響を及ぼす点には注意が必要です。

 

 ⑵ デジタルマーケティング規制

 食品のオンライン広告では、科学的根拠のない健康効果や栄養に関する表示は禁止されています。そのため、十分な科学的根拠や規制当局の承認がない限り、健康効果を強調する表現を用いることはできません。

 また、SNSを活用した広告やインフルエンサーによる発信についても、広告であることの明示や健康表示に関する規制が強化されています。

 

⑶ プラットフォーム別要件

 ECプラットフォームごとに、商品説明、画像、販促表現に関する要件は異なります。

 法令で定められた表示事項は、購入前に消費者が確認できる状態である必要がありますが、賞味期限やロット番号など、商品ごとに異なる情報については、オンライン上での表示は必須ではありません。

 

執筆者:インド法弁護士 シュレヤ(翻訳 弁護士 辻陽加里)